関西電力の火力発電所では、電力の安全・安定供給に向け、設備の異常を早期に発見し、トラブルを未然に防止するため、発電所所員が定期的に設備の巡視点検(発電所所員が定期的に、発電所内を巡回し、人の五感および点検ノウハウを駆使して、設備の異常を早期に発見する点検)を行っているが、設備が多岐にわたるため、多くの労力と時間を要している。
また、今後、定年退職に伴うベテラン技術者の減少が予想される中、巡視点検の技術を継承していくことが課題とされている。
これまで発電所所員が目視などで確認していた設備情報を、自動走行型のロボット(可視光カメラ、音響マイク、ガス検知器等を搭載)を用いて収集し、AIを活用して各設備の運転状況が正常であるか診断を行う巡視点検自動化システムを開発し、堺港発電所(大阪府堺市)において、実証実験を実施した結果、高い検知精度を得ることに成功した。
当システムを活用することで、巡視点検の効率化を実現するとともに、技術の継承にも繋がることが期待される。
将来的には、関西電力の各火力発電所への本格導入に向け準備を進めるとともに、同様の課題を持つ他社への販売についても検討されている。本取組みなどを通じて、生産性を飛躍的に向上させるとともに、新たな価値を創出していく。
Project
#02
火力発電所の巡視点検の課題を
先進技術を用いて解決
Project Member
発電システム部 火力システムグループ
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2019年度 入社
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2010年度 入社
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2020年度 入社
技術の継承の問題を
先進技術で解決
知識が乏しい中での
開発プロジェクト
巡視点検自動化システムのプロトタイプ開発では、当社の技術に特化した部署にて、関西電力グループ他社が開発したAIを自動的に実行し、Webアプリケーションでシステム利用者に見せるまでシステムを構築していた。
しかし、業務利用に向けたシステム構築プロジェクトでは、プロトタイプの段階ではWindows OSのノートPC1台の上だけで動いていたアプリケーションを、システムの維持運用に適したLinuxというOSを搭載したサーバに乗せ換える方針が立った。
さらに、火力発電所所員が業務利用できるように、アプリケーションやソフトウェアを細かに設定するため、幅広い知識を備えた人財が必要とされた。
また、当社が保守しているシステムでは開発環境(システムの開発・保守業務を行う環境基盤)が整っているものの、当システムは関西電力火力事業本部独自の取組みであることから、同じ開発環境を利用しないとの方針がたったため、最適な開発環境を自分たちで検討・構築する必要があった。
新しいシステム基盤を構築していくにあたり必要な知識が数多い中で、入社当初で業務やシステムのノウハウを持っていなかった上に、過去に経験してこなかった分野ばかりで、戸惑いや不安を強く感じた。
幅広い知識を得て
他案件でも頼られる存在に
OSやアプリケーションの設定、開発環境の構築といった幅広い知識が必要だったため、始めは有識者への相談や独自で勉強、調査を重点的に取り組んだ。
開発環境においては、利便性や環境の柔軟性の観点からAWS(Amazon Web Service)を採用することになったため、ほとんど独学で開発環境の構成を検討し、関西電力のセキュリティ部門に安全性が担保できていると認められる環境構築を実施した。
また、システムの保守性を考慮しDockerというコンテナ技術を採用することになったため、有識者へ相談したり独自でも調査や試行錯誤することで知識を身に着け、アプリケーションを構築した。
自分の知識が及ばない点については、他の担当者も協力することでチーム一丸となって技術調査を進めていった。
上記のように試行錯誤した結果、関西電力がプレス発表できるまでのシステム基盤を構築でき、関西電力火力事業本部のDX推進に貢献した。今後のアプリケーション開発にも先進技術を利用するよう期待が高まっている。
当システムのプロジェクトを通し、他のシステムにも応用できるほどに知識を身に着け、独力でシステム構成を検討できるまでになり、担当以外のシステムにおいても相談を受け、助言することもできるようになっている。
関西電力の企業価値向上に貢献
当システムは発電所での実運用に加え堺港発電所以外の他火力発電所への展開が計画されているため、様々な設備環境における検知精度の維持や向上が課題となっている。また、システム利用者が広がっていくことから、今後はこれまで以上にシステム利用者の意見を取り入れながら細かにアプリケーション機能の改善を図っていく必要もある。
上記のような課題に対して当社から関西電力へ課題解決策を提案し、従来のウォーターフォール開発でなく「アジャイル開発」といった開発手法によって、高付加価値のある機能をタイムリーかつスピーディに提供することができれば、システムの安定性や利便性を強化・向上し関西電力の満足度向上に繋げられる。
そのためには、様々なプロジェクトを経験し、さらなる技術知識や関西電力の業務知識を身に着けていかなければならないと感じている。また、提案力の向上のため、当社が掲げる上流工程シフトへ参加できるように、要件定義以前の工程から参画していきたい。そうした経験を積むことで当システムの改善にとどまらず、関西電力のITの担い手として、最先端の情報技術を活用し、関西電力の企業価値向上に貢献できるような人財を目指していきたい。